駆け抜けた少女【完】





あの日、桜の木の下で儚く微笑んだ君を一生守って行くと誓った。


なのに、守れなかった。



「お華……」


眠る矢央を見つめ、沖田は一筋の涙を流す。


弱すぎた自分を許しておくれ。

守ると誓い、共に生きると約束したのに果たせない自分を許しておくれ。



「……ん……沖田…さん?」


頬に落ちた滴を、右手で拭いとった矢央。

暗がりでもわかる、沖田が泣いているのが。


そっと沖田の頬に指で触れた。
直ぐに握り返した手は冷たくて、長い時間外にいたことを知った。



「泣かないで…私は、あなたを攻めたりなんてしない」

「………っっ!?」

「私の中に、お華さんの記憶が溢れてくるんです。沖田さんや、土方さん達と過ごした記憶や感情が……」



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