駆け抜けた少女【完】
*
あの日、桜の木の下で儚く微笑んだ君を一生守って行くと誓った。
なのに、守れなかった。
「お華……」
眠る矢央を見つめ、沖田は一筋の涙を流す。
弱すぎた自分を許しておくれ。
守ると誓い、共に生きると約束したのに果たせない自分を許しておくれ。
「……ん……沖田…さん?」
頬に落ちた滴を、右手で拭いとった矢央。
暗がりでもわかる、沖田が泣いているのが。
そっと沖田の頬に指で触れた。
直ぐに握り返した手は冷たくて、長い時間外にいたことを知った。
「泣かないで…私は、あなたを攻めたりなんてしない」
「………っっ!?」
「私の中に、お華さんの記憶が溢れてくるんです。沖田さんや、土方さん達と過ごした記憶や感情が……」