駆け抜けた少女【完】
その神社の祠の中に御札で封印された刀が祀られている。
そこの住人であった者ですら、その祠の中に入ることは禁じられていた。
理由は簡単、その刀は妖刀だったからだ。
一度も血を浴びた形跡の無い刀だったが、それを造った者が血を欲する狂った人物だったと言われ、何日も飲まず食わず眠らずで刀を造り続けた。
そして完成した時、その者は自分の体をもって、その完成度を試そうとしたが――――
その前に命付き亡くなってしまう。
そうして一度も刀の役割を果たせないままの刀は、夜な夜な血を求めカタカタと揺れていた。
それを祀っていたのが、神の力宿る御神木で作られた祠だった。