駆け抜けた少女【完】
「薄気味悪い―……」
どうしてだか胸騒ぎがする。
祠の前を掃除していたお華は、祠の中で今にもギラリと光る刃を見せそうな刀を見つめた。
グッと箒を握る手に力がこもる。
前にもこんな風な胸騒ぎを感じたことがあった。
「大丈夫……もう、大丈夫」
あんな惨い出来事、そう何度もあっては堪らない。
気がつけば、いつの間にか夕刻が迫っていた。
早く戻らないと近藤が心配すると、お華は片付けに入るが、背後でジャリッと砂を踏んだ音に動きを止めた。