だから、君に
なじられるだろうか。冷たい言葉を浴びせられるだろうか。
麻生の……由紀の祖父には、僕たち『家族』はどう見えていたのだろう。
由紀がまだ僕たちと共に暮らす前、彼女には「選ぶ」ことができなかった。
僕たちと暮らし始めて、彼女は「選ぶ」ことができるようになった。
その結果が、今だとしたら。
由紀の、そして僕たちの選んだ道が、結果として彼女を追い詰めたのではないか。
幾度となく繰り返してきた問いが、また僕に襲い掛かる。
それでも、ずっと昔に感じたような、突き刺さる痛みはもうなかった。
鈍化していく喪失の痛み。
それは僕にとって、許されるはずのないことだった。