だから、君に

二人と机を挟んで向き合い、資料を手にとる。

「美紀さんの進路ですが、ご本人からはもう……」

ちらりと麻生を伺うと、彼女はこくりと頷いた。

「そうですか。こちらが前回の模試の成績ですが、今のところ問題はないかと思います」

僕の差し出した成績表をじっと見つめ、麻生さんは細く息を吐いた。

初めて見る、由紀の祖父。
目尻によった皺は深く、どこか優しげな雰囲気を醸し出している。
年齢は……六十代後半、だろうか。

「ご家族でも、このことに関してはもう話し合われましたか?」

< 112 / 152 >

この作品をシェア

pagetop