だから、君に

僕と由紀は福袋の見本に入っていたベーゴマのおもちゃがどうしても欲しかった。
あの頃とても流行っていたそのおもちゃは、小学生だった僕にはとても魅力的で、由紀を遊びに付き合わせているうちに、彼女も熱中していたのだ。

お年玉を握りしめ、僕は由紀と二人でそそくさとデパートに向かい、部屋に帰った。

しかし福袋を開けてみて、ベーゴマが入っていたのは由紀の方だけだった。

「あげる」

俯いていた僕に、由紀はベーゴマを差し出した。

「……いい」

僕は首を振ったが、お構いなしに彼女は僕の福袋を漁った。

「あ、これ」

「ん?」

「これと交換」

「いいの?」

「うん」

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