運命
部屋に戻ると少し違和感を感じた。


『あれ?何でここに携帯が置いてあるんだろう‥??』

そう。携帯が机の上に置いてあったのだ。確か、聡から電話が来て喜んで携帯をベッドの上に投げ捨てて‥部屋を飛び出したような?


『あっ!お母さんが部屋に来て片付けてくれたのかな?』

その時はあまり気にも止めなかった。


『電話しなくちゃ!!』

今の私には、こっちの方が優先だった。



『もしもし聡?』


『ん?今度は愛か‥』


『今度はって、誰かと電話してたの?』


『えっ?あ、あ〜会社の人とな。ほら、清水さんの様子を‥』


『ふ〜ん。』


『それよりどうしたんだ?』


『あっ、さっきのお父さんの態度のことを謝ろうと思って‥』


『そんなのいいよ。それより、こっちこそごめん!!愛だけが大切だって言い切れなくて‥』


『分かってるよ。分かってるから‥。逆に、愛だけが大切だって言われたら、私が不信感を抱いてたかも(笑)』


『愛‥』


『ねっ。来月‥ゆっくり逢えないかな?私たちの半年記念だから‥』


『そうだな。どこか行くか?』


『うん!!楽しみにしてる』


『あとさ、俺の携帯の‥』


『携帯がどうかしたの?』


『えっ!あっ、ううん。なんでもない』


『何?さっきから変だよ?隠し事はなしじゃないの?』
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