運命
前回、お父さんが釣りをして一匹も釣れなかった場所に、2人で並んで座って釣りを始めた。


先に口を開いたのは、お父さんだった。

『愛の‥どこがいいんだ?』


『一緒にいて楽しいんです。それに落ち着きます。たまに見せる、天然のところとか可愛いと思います。』


『中学の同級生だったとか?』


『はい。中学3年に、初めて隣の席になりました。ずっと気になっていたんですが話しかけられなくて‥でも、勇気を出してライブに誘ったんです。それがきっかけで仲良くなれました。』


『気になってたって‥その時は付き合ってなかったよな?』


『僕の前に‥友達が先に告白してしました。後でもいいから気持ちを伝えようと思ったんですが、彼女が一人で悩んで苦しんでいたので出来ませんでした。』


『中学からずっと愛だけを?』


『そうですね‥この気持ちは変わりませんでした。連絡先は知っていたんで連絡を取ろうと思えば取れたんですが‥勇気がなくて‥今更なんて言って誘えばいいのかって‥中学の時、思いを伝えなかったこと、ずっと後悔してました。』


『そしてこの間知り合った‥』


『運命ってあるんだと思いました。本当は、新入社員だけが集まる会議だったので僕が参加することはなかったんです。でも、急遽変わってくれって先輩に頼まれて行ったら‥』


『そこに愛がいたと』


『はい‥』


しばらく沈黙が続いた。



次に口を開いたには聡だった。

『愛にも、僕の親にも‥来年の愛の誕生日に籍だけは入れたいという事は言いました。でも、愛のお父さんの承諾なしにそんなことはしません。本気だってこと分かってもらって‥祝福してもらった上で、籍を入れたいと思います。』


『承諾しなかったら?』


『その時は‥このままの関係が続くだけです。中学からずっと好きだったんです。そう簡単に僕の気持ちは変わりません。僕達にもし、終わりが来るとするならば‥愛が僕より大切な人を見つけたときです。
そんな事あり得ませんが。』


『最後にもう一度聞く。愛と仕事どっちが大切だ?』

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