運命
あの後、お父さんは手ぶらで帰っていったのでお母さんに酷く怒られたらしい‥


私は何も知らずに、どうやったら聡とお父さんが仲良くなるかを考えていた。毎日、聡と電話で相談するものの返事はいつも


『大丈夫だから(笑)』

って。何でそんなに自信があるのか分からなかった。


何の解決策も見つからないうちに6ヶ月記念日を迎えた。



10時。

聡が私の家に車で来てくれた。


『おはよう』


『うん。おはよう‥』


『どうした?元気ないじゃん??』


『今日ね‥お父さん急に仕事が入っちゃって‥会社に行っちゃったんだ‥』

そういう事ね。
この間に荷物を運べって言いたいのか‥


『愛、今から俺のアパートに行くから大事なもの持って車に乗って』


『で、でも‥』


『いいから。俺を信じて。話は家でするから‥』


『分かった!!』

愛はいったん家に戻り、洗面用具や少しの服を持って出てきた。周りから見ればプチ家出みたいだった。



しばらく車を走らせ、聡のアパートに着いた。


『荷物は俺が運ぶから、愛は部屋の鍵出してあけて。』

私は、初めて聡から貰った合鍵を使って扉をあけた。そして‥


『ただいま』

そう言って恐る恐る部屋の中に入った。



『えっ!?』

私が見た光景は前回と全然違っていた。


『どうしたの?』
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