運命
『で、何で愛はここにいるの?今日は平日だから仕事のはずじゃ?』


『それは‥って、桃花だって同じだよ!公務員さん』


『私は、腹痛で休みなの(笑)』

桃花はわざとらしくお腹を擦った。


『で?彼氏のいる愛さんは、今日は何で一人でいるんですか?周りはこんなにカップルでいっぱいなのに』


『私は‥今日は有給休暇なの。予定では、2人でボードやるはずだったのに‥』


『ダメになったと?』

私は頷いた。


『まぁ、福祉の仕事は不定期休みだからね。仕方ないよ』



そんな話をしていると、私の携帯に一通のメールが届いた。


『見ないの?彼氏さんからでしょ?』


『いいの。』


『仕事じゃ仕方ないんだから許してあげなって。メール、読んだら?』

桃花が催促するので仕方なくメールを読んだ。


「今日はごめん。この埋め合わせはいつかするから。
逢えなくても、俺の気持ちは変わりません。メリークリスマス」


聡の優しさが十分に伝わってきた。
でも‥今の私には聡の気持ちが重すぎて受け止めることが出来なかった。



『返信、しなくていいの?』

桃花が心配そうな顔で私を見てきた。私はこれ以上心配かけられないと思い、


『桃花ごめん!!急用思い出しちゃった。私もう行くね。』

私は逃げるようにその場から離れた。




そして‥

近くの店に入り、トイレの中で携帯を握り締めたまま泣き崩れた。


店内は、私の気持ちとは裏腹に軽やかなメロディーが流れていた。
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