運命
~次の日~


仕事に行くと、クリスマスだというのに社員は暗かった。

私には、何が起きているのか分からなかった。近くに女の先輩がいたので状況を聞くことにした。


『おはようございます先輩。』


『あ~梅沢か。おはよう』


『何かあったんですか?』


『今朝、清水さんが倒れてね‥』

清水さん??
どっかで聞いた事のある名前なんだけど‥誰から聞いたんだっけ?


『清水さんってそんなに有名な人なんですか?』


『有名といえば有名かな。そっか、梅沢が入る前からいたのか‥。
デイに一番長く通ってた人だったんだよ。それが今朝、様態が急変してね。付き添っていたデイで働く男の人が救急車をすぐ呼んだお陰で一命は助かったけど‥』


『助かったけど?』


『今も、危険な状態だって。様態が急変したの‥今回が初めてじゃないらしくて‥』


『そうなんですか‥。でも、デイで働く人が利用者の家にいるなんて珍しいですね。普通、ヘルパーがいるんじゃないんですか??』


『なんか、その男の子を自分の孫と間違えているらしくて、最近住み込んでいたみたいだよ。』


「最近」「住み込み」「孫と間違えている」‥
先輩の言っている単語が頭の中でグルグルと駆け巡っている。


何?この違和感。
誰かも、同じようなこと話していたような‥誰だっけ‥




答えが見つからないまま月日が流れ、大晦日を迎えた。
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