運命
『どうしたの?お父さん』


『いいからそこに座りなさい』

お父さんの表情が険しかった。
私はお父さんと向かい合って座った。



『愛、お前はいつまでこの家にいるつもりだ?』


『そ、それは‥』


『1週間以上もこの家にいたんだ。そろそろ本当の家に戻りなさい。』


『でも、まだ料理を‥』


『お母さんはもう、あなたに教えることはありませんよ。』

お母さんも台所から居間に来た。


『お母さん‥』

私がお母さんを見つめているとお父さんが話し出した。



『愛。お前の帰る家はここじゃない。今すぐ出て行きなさい。』


『お父さん‥』


『聞こえなかったか?出て行きなさいと言ってるじゃないか!!』

今度は凄い剣幕で怒鳴った。


私は怖くて家を飛び出した。





『お父さん‥あんなに強く言わなくても』


『‥‥‥』

お父さんは無言だった。


愛を聡の元に行かせるために、わざとあんなキツイ言い方をしたのだ。
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