運命
『家に戻ったら愛の姿がなかった。愛まで俺の目の前からいなくなったのかと‥ずっと思ってた。』

私はそれを聞いて、いても経ってもいられなくなって聡を優しく包み込むように抱き寄せた。



『私は何処にも行かないから。こうして聡の傍にずっといるから』


『俺を‥一人に‥しないで‥』


『一人になんてしない、約束する』

それを聞いて聡は薄っすら笑みを浮かべた後、泣きつかれたのか深い眠りについた。





ゴーン


ゴーン


一年の始まりを示す鐘が鳴り響いた。


『ごめんね、聡‥。今年はずっと一緒にいようね』



私は、次の日聡が目覚めるまでずっと起きて、聡の頭を撫でていた。
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