運命
『うわー雪がいっぱい!!』


『愛、はしゃいでないで早く板に片足乗っけて』


『はーい(笑)』

私たちは今、ボードの真っ最中。
私は、今年初めての有給休暇を使い、聡は風邪を引いた事にして休みを取った。


『これで本当に風邪引いたら俺、絶対怒られるわ‥』


『あはは~。そしたら私が看病してあげる』

私は、聡との久しぶりのデートで気分サイコーだった。
仕事の事も何もかも忘れて、ただ聡との時間を楽しんでいた。



『後で一緒に雪だるま作ろうね(笑)』


『じゃあ‥ターンが出来たらな』


『えー』

今の私は滑って下りてくるのがやっと‥ターンって‥


その後、私は聡の指導を忠実に守り練習に励んだ。

すると、その日の午後にはターンが出来るようになっていた。


『私の今のターンどうだった?』

私は聡の前で披露していた。


『‥愛、飲み込み早すぎ‥完璧だよ。』


『本当!?私、スポーツは昔から得意だったんだよね。』


私が座っている横に、聡もお尻をつけて横に座った。

『そうじゃない。指導する人がいいからだよ(笑)』


!!!

私は、近くにある粉雪を聡に振りまいた。


『嘘嘘。冗談だって(笑)後で雪だるま作るんだろ?』

その言葉を聞いて、私は笑顔になった。


『うん!!』


『愛って本当に子どもだよな‥』

聡は小さな声で言ったけど、私は聞き逃さなかった。


『可愛いって言ってほしいんですけど』


『聞こえてたのか??』

私たちはその場に寝転んで笑いあった。
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