運命
ホテルのレストランの窓からの景色は、雪がライトを反射して輝いていた。まるで雪が照明の代わりをしているようだった。


『今からでも遅くないよ。2人だけのクリスマス‥しない?』


『そうだな。』

聡は従業員を呼ぶ訳ではなく、目で合図を送っていた。


『メニュー見なくてもいいの?』


『いいの』

何故か聡は楽しそうだった。私は、お腹が空きすぎていたので一刻も早く食べたかったのに‥



『お待たせいたしました。』

レストランの従業員が続々と私たちのテーブルに来た。いつの間にか、私たちは囲まれていた。


私は小さい声で聡に話しかけた。

『ねぇ~何が起こるの??』


『まぁ~見てろって』

聡は順調って感じで、テーブルのもっと先の方を見ていた。


すると、今度はさっき聡が目で合図した従業員が何かを持って表れた。

『お待たせいたしました。』

そう言ってテーブルの上に置かれたのは雪だるまだった。


『うわ~!!』

歓声を上げていると、私たちを囲んでいた従業員がクリスマスソングを1曲歌ってくれた。


『愛‥雪だるまのお腹を切ってみて』

私は聡に言われるまま、ナイフとフォークを使って綺麗に半分に切り離した。
すると中からあるものが出てきた。


聡は、それを取り出し私を見つめてきた。


『愛‥』

その言葉と同時にレストランの電気が消えた。点いているのは各テーブルのロウソクの灯りと、私たちのテーブルの照明だけだった。
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