運命
タオルで頭を乾かしながら部屋に戻ると、聡は部屋の窓際に立っていた。

『聡?』


名前を呼ぶと、慌てて振り向いた。

『ごめん。気がつかなかった』


『何‥見てたの?』


『ん~。今日の星は綺麗だなって。愛もこっちおいで』

手招きをして私を呼んだ。私はゆっくり歩いて聡の横に並んだ。


『本当だ!!今日の星、綺麗だね』

満天の星が輝いていた。しばらく見つめていると‥



『うわっ!!』

いつの間にか聡は私の後ろにいて、タオルで私の髪の毛を乾かしていた。


『自分でやるから大丈夫だよ~』


『すぐ乾かさないと風邪引くぞ』

聡の手は止まらなかった。


『本当に大丈夫だって!!』

その時、聡と手が触れた。


『ご、ごめん!!』

急に聡が慌てだした。


『どうしたの?』

私は聡の顔を下から覗き込んだ。

すると、急に聡に抱きしめられ、私は思わず「キャッ」と言う声が出てしまった。



それでも聡は何も言ってくれない。

『聡?』

心配になって名前を呼んだ。



『なんでもない!ちょっとこっち向くな!!』

少し強めの口調で言われたので、肩がビクンと上がった。


急にどうしたんだろう‥?

疑問を抱きながら頭を横にすると、窓ガラスに映る聡が見えた。


聡の顔が凄く赤かった。

「何だ~照れてたのか」そう思うと笑いが込み上げてきた。

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