運命
『どうしたんですか?こんな朝早くから?』


『大変なんだよ!!大事なデータの入ったフロッピーがなくなったんだ!』


『もしかして‥今日提出の例のフロッピーですか?』


『そう。今、社員全員で探してるけど見当たらなくて‥このままだと間に合わないから、パソコン入力が一番速い梅沢に協力して欲しいんだけど‥今から出勤できないか?』


『えっ!?今からですか?私これから‥』

私は聡を見た。

「いいよ、行って来い」口パクでそう言ってた。


『でも‥』

聡は笑顔で頷いていた。私は迷った末‥


『分かりました。今から行きます。失礼します』

結局行くことを承諾してしまった。



『ごめん。今から会社に行くことになっちゃった‥』


『いいよ。俺一人で「婚姻届」提出してくるから』


『本当にごめん!!仕事終わったらすぐに連絡するから。今日は外食しようね』


『そうだな。もう行くんだろ?気をつけて行って来いよ。愛はドジなんだから(笑)』


『お母さんみたいなこと言わないでよ!!聡も気をつけてね』


『おう。じゃあな』


『行ってきます』

私は家を飛び出して会社に向かった。






今思えば‥これが聡との最後の会話だった。
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