運命
カチャカチャ


カチャ

ん!?この部屋には私しかいないはずなのに、キーを押すのが遅い人がパソコンを触っている。
私は、入力している手を一旦止めて立ち上がった。


『先輩‥?』


『ごめんな、梅沢‥』


『どうしたんですか?お昼に行かなかったんですか?』


『私は大丈夫。ダイエット中だから(笑)それより‥午前中は「婚姻届」を出しに行く日だったんだよな?』


『あっ、はい。でも聡が‥彼が一人で出しに行ってくれてます。これが終わったらすぐに帰って合流するので大丈夫ですよ』

私は先輩を安心させるために笑って見せた。


『ごめん‥私も協力するから早く終わらせようね』


『助かります。それに心強いです。頑張りましょう!!』

そう言って、私たちは黙々と入力を開始した。






しばらくするとお昼を食べに行った先輩も帰ってきた。

『はい、アイスクリーム』


『ありがとうございます。ってこんなにですか?』


『何味がいいか聞くの忘れてた‥』


『すみません。全部好きです』


『そうか。じゃあ、俺らもやるか!!』

そう言って男の先輩達もパソコンのキーを打ち始めた。


せっかく買ってきてもらったんだから、融ける前に一口‥
私はアイスクリームを一口食べた。
「美味しい!!元気回復」私はふと時計に目を移した。


えっ!?まだ12時30分?
お昼休みあと30分もあるのに‥先輩たち‥


そう。先輩達はお昼休みの時間を半分削って、こっちに戻ってきてくれた。



「ありがとうございます。」

嬉しかった。この会社に来て、初めてここに就職してよかったって思った。
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