運命
『すみません‥そろそろ‥』

そう言って、看護師さんが聡を何処かに連れて行こうとした。


『聡を何処に連れて行くんですか!!聡は誰にも渡しません。』

私は聡から離れなかった。


『すみません‥もう少し‥聡くんの傍に愛をいさせてくれませんか?』

お母さんが看護師さんを説得していた。


『分かりました。もう少しだけですよ?』


『本当にすみません』

お母さんは何度も何度も頭を下げていた。でも‥私はそんな光景を見ていなかった。ずっと起きない聡を見つめていた。


『聡‥今日もきっと満天の星空になると思うよ。後で一緒に見ようね』


『愛‥』

そんな私の姿を見て、お母さんは泣いていた。お父さんは‥愛に何もしてやれないことを悔やんでいた。




『そろそろ‥聡を火葬したいと思うんですけれども‥』

聡のご両親が愛の親に話した。


『そうですよね‥このままっていう訳にはいかないですよね‥あなた、どうしましょう?』


『そうだな‥』

お父さんは、ある提案を持ちかけた。
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