運命
『すみません。この娘、まだ聡君の死を受け入れることが出来なくて‥』


『いいえ。聞きました‥。婚姻届を出した後の出来事だったそうですね。ご冥福をお祈りいたします。』

警察の人は、私達に一礼をして帰って行った。



『さて、私達もそろそろ‥』


『あの‥聡を‥何処に連れて行くんですか?』


『家に連れて帰るけど?』


『私達の家はダメですか?私‥聡と一緒にいたいんです。お願いします。私と聡を離れ離れにしないで下さい!!』

私は、聡のお母さんに必死でお願いした。


『愛‥』

お母さんは困り果てていたけど、私は頭を下げたままだった。


『分かったわ。2人の家に連れて帰りましょう』


『ありがとうございます』

私は、聡のお母さんに何度もお礼を言った。



『よろしかったんですか?』

お母さんは聡のお母さんに聞いた。


『こんなに愛されて‥聡は幸せでしたわ。もし、このまま私達の元に連れて返っても、聡もきっと愛ちゃんのことが心配だと思います。それに‥聡がいなくなってからの愛ちゃんが心配です。』


『そうなんです‥』


『私、愛ちゃんが心配ですので、ちょくちょく伺います。そして、お母さんにも報告しますね』


『すみませんが、よろしくお願いします。』


2人がそんな会話をしているなんて知らなかった。愛はいつまでも聡と一緒にいられることが嬉しかった。
< 184 / 205 >

この作品をシェア

pagetop