運命
『聡‥やっと家に帰って来れたね。これかもずっと一緒にいようね』

私は、聡の遺骨に話しかけた。


『ごめんね‥明日から会社に行かないといけないの。一人ぼっちになるけど、お留守番お願いね』

聡がいなくなって1週間は、会社で休みを貰ったけど‥さすがにこれ以上は無理だった。




久しぶりに会社に行くと、先輩達は心配そうな顔をしていた。
「聡のこと知ってるのって‥女の先輩だけなのにどうして?」私はとりあえず席に着いた。


すると一人の人が私に話しかけてきた。

『体調大丈夫?1週間入院してたんだって?』


『えっ?』


『みんな心配でお見舞いに行ったんだけど面会謝絶で‥そんなに体調悪いの?今日も顔色悪いし‥』


『大丈夫ですよ。もう平気です。1週間休んですみません。』

私は、口裏を合わせた。私は入院してたことになっているんだ‥


そうだよね‥聡と私の関係知らないもんね‥



『そういえばさ』

私の前の席に座っている先輩達が話し出した。私は、聞くつもりはなかったけど‥聞こえてしまった。


『そういえばさ、去年、清水さん亡くなっただろ?その時看病していたデイで働いてた男の人、先週亡くなったらしいぞ。交通事故だって。婚約していた女がいたんだって。』


『そうなのか?一人になった女も大変だよな。この先どうするんだろう‥』


『さぁ~な』

私は立ち上がってトイレに向かった。
そして、水をいっぱい出して泣いた‥


『聡‥聡‥‥』


すると、私の背後に誰かが来た。


『大丈夫か?梅沢』


『先輩!!』

私は女の先輩に抱きついて泣いた。先輩は何も言わず、何も聞かず‥ただ私の傍にいてくれた。

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