運命
『最近、生理はいつ来ましたか?』


『生理ですか?いつだろう。最近忙しくて覚えてないや‥もしかして、私何かの病気ですか?』

看護師さんは首を横に振った。


『救急車で運ばれたとき、血液を取って、いろいろな検査をしましたが異常は見当たりませんでした。』


『じゃあ?』


『あなたは、妊娠しています』


『えっ!?‥今なんて言いました?』


『ですから、高橋さんは今、妊娠しています。』


『うそ‥ここに‥私の赤ちゃんが‥』

私はお腹を見つめながら、手で触った。


『そうです。高橋さんのお腹に、一つの命が宿っているんです。産むのでしたら食事はきちんと取ってください。これからは2人分ですよ。
もし、おろすのであれば‥一日でも早い事をお勧めします。その方が母体への負担は少ないので。
では、私はこれで失礼します』

看護師さんは病室から出て行き、代わりに桃花とお母さんが入ってきた。


『ごめん‥廊下から2人の話し声聞こえちゃった。妊娠‥してるんだって?』

私は頷いた。


『愛、どうするつもりなの!?』

お母さんは強めの口調で言った。


『私は‥』

どうしたらいいんだろう?
聡がいないのに‥この子は幸せになれるんだろうか?
聡がいないのに‥この子を幸せにすることが出来るんだろうか?

急に苦しくなってきて、呼吸が乱れてきた。


『愛、大丈夫?』


『だい‥じょうぶ』

私は大きく息を吸って呼吸を正した。


『おばさん‥愛と2人きりにしてくれませんか?』


『えっ?』


『お願いします!!』

お母さんは、桃花に言われたとおり部屋を出て行った。
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