運命
『梅沢‥じゃないんだった!高橋、今日は来てくれてありがとう。』


『先輩‥凄く素敵です』

そう。今日私を結婚式に呼んだのは、会社の女の先輩だった。


『先輩と約束したじゃないですか。結婚10周年に式を挙げるその時、私も参加するって。』


『3、4年も前の話だからもう、忘れられたのかと‥』


『私、記憶力だけはいいんです(笑)』


『そうだったけ?』

先輩は笑っていた。



『空くん、はじめまして。今日は来てくれてありがとう。』


『高橋空です。はじめまして。今日はお招きいただきまして、ありがとうございます』


『高橋‥しっかりした子だな‥』


『聡に似てしっか‥』

『母がこうなんで僕がしっかりしないと』


空が私の言葉を遮った。


『はははぁ〜。きっと大物になるよ!!空くんは』



その時、アナウンスが流れた。

「会場の準備が整いました。ご来場のみなさんは、教会の中までお進みください』


『先輩急がないと』


『高橋、今日は来てくれて本当にありがとう。美味しい食べ物いっぱい用意してあるから』


『ありがとうございます。』

先輩はウエディングドレスを着たまま走っていった。



『さて空、私達も教会の中に入ろうか?』


『うん!!』

私と空は手を繋いで歩き始めた。
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