運命
『聡が中学の頃から好きだったのは聞いたよな?
中学のとき、こいつ本当に梅しか見てなくてな~どうしたら話が出来るか必死で考えてたんだよ。それで思いついたのが、梅と同じものを好きになることだったんだ。』


『うん。それで、私の好きな曲を知ったんだよね?』


『そう。俺らは聡の気持ちに気づいてたから、ここでミニライブの後に告白しろ!!って言ったのに、こいつ怖気ついちゃって言わなくてさ』


あれ?中村智貴の事知らないのかな‥?


『それからは、高校が違うって事もあったから冬しか逢えなかったんだ。』


『皆は冬に逢ってたの??』


『梅知らなかったのか?梅が中学の頃、ボードやってみたいけど出来ないから‥って教室で話してるのを俺ら聞いちゃって、それから毎年ボードの練習してたんだ。
聡、梅に教えてやるんだって毎年頑張ってたんだぞ!!』


知らなかった‥

『あと、今の会社の野球チームにも入ってさ。どこまで尽くすんだよって(笑)』

聡は照れくさいのか、窓際でタバコを吸い始めた。



『梅が大学に通ってる頃に何度もメール送ろうとしたらしいんだ。でも、今更だし‥とか言って一回も送らなくてな。見てて未練たらたらなのが分かってたよ(笑)』


『聡はな、梅の‥』


『ちょっと待て!!それ以上言うな』

聡は止めた。


『何で?もっと聞きたかったのに』

私は聡の腕を掴んで揺さぶった。



『その続きは俺の口から聞け。こいつらから聞くな!!』


『はい。』

もしかして‥


『今まで黙ってたのって少し嫉妬‥してたりして(笑)』

って冗談で言うと


『悪いか』

って、髪の毛をクシャクシャにしていた。
こんな仕草が可愛いと思う。




『ほら、ミニライブ始めるぞ』


そう言って私の大好きな曲を演奏してくれた。
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