運命
『そっ。あなた達が真剣なことは良く分かったわ。お母さんは賛成よ』


『ありがとう、お母さん。』

肩の力が抜けた。

『でも‥』

その言葉に思わず崩していた姿勢を元に戻した。


『合鍵を貰ったからって、お母さん達に内緒でお泊りすることは禁止します。
あなた達は、結婚前提っていうけど向こうのご両親はこのこと知らないんでしょ?』


『うん‥』


『料理を作ってあげる事は反対しないけど、必ずお母さんに連絡しなさい』


『はい。約束します。』


『いい子ね。でも‥家には問題がもう一つ‥』

そう。
我が家には大きな問題が残っていた。


『あなた、お父さんには何て言うつもりなの??』


私のお父さんは、めちゃくちゃ怖い。
中学の時‥
学園祭の準備で帰りが遅くなった時、同じクラスの男の子が家まで送ってくれた事があった。
私は、彼に「ありがとう」というと、お父さんが家から急に出てきて、何も言わずに彼をグーで殴ったことがあった。

あとで事情を話すが聞いてくれなかった。その後、その男の子とは気まずいまま卒業した。



『もう少ししてから、ゆっくり説得するよ。聡も‥彼も今度、家に来て挨拶したいって言ってたし。』


『そう‥』


『うん。』

時計の針の音だけが聞こえた。



『お母さんね~中学のとき、あなたと高橋君って子付き合ってると思ってたわ』


『えっ??』


『だって、あなたの口から聞く名前は、毎日彼の名前ばかりだったわよ(笑)』


『うそぉ~!!』


『本当よ(笑)』

その後も、私とお母さんは聡の話題で盛り上がった。
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