運命
玄関で靴を履いていると、居間からお母さんが心配そうな顔をして来た。


『愛、朝食は食べなくても平気なの?』


『大丈夫。それより、この服装とか大丈夫かな?あと化粧とか‥香水もいつもより抑え目にしたけど‥』

私はその場で一回りして全体を見てもらった。


『見た目ももちろん大切だけど、一番は中身よ。
今日だって寝坊なんてして‥間に合ったからよかったものの、礼儀がなってないって言われるわよ。』



お母さん‥私が寝坊した事知ってたんだ‥

『ごめんなさい。これからは気をつけます』


私たちの会話を聞きつけてか、今度はお父さんが居間から顔を出してきた。


『お父さん、今日は仕事休みなの?』


『今日は定期診断でな。愛はこれから出かけるのか?』


『あっ、うん‥』

そうだった。まだお父さんには何も話してなかったんだ‥



『お父さん?』


『何だ?愛』


『今日、帰ってきたら大事な話あるから‥起きててね。』


『大事な話って何だ?今じゃダメなのか?』

私は一度、時計を見て時間を確認した。


『ごめん!!もう行かなくちゃ、じゃ後でね』

私は話の途中で家を飛び出した。
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