運命
『ありがとう』

突然、お礼を言われた。私は当たり前の事を言っただけなのに‥なんて思っていると



『指輪‥今日ははめてくれてるんだな。』


あっ!!

『うん‥』

私は左手の薬指の指輪を見つめた。



『ごめんね。今まではめてなくて‥あんまりね、実感がわかなかったの。』


『いいよ。今日からはしてくれるんだろ?』


私は無言で頷いた。


『なら許す。』

信号が青に変わったので聡は前を向いて車を走らせた。



『今度は俺が大事な話するから聞いてくれるか?』

車内の空気が少し変わった。




『今流れてる、この曲の件は愛の為に練習してるんだ。いつ披露するかは言えないけど‥許してくれな。
それから‥入籍と結婚式の事なんだけど‥』


その言葉を聞いた途端、心拍数が上がっていくのが分かった。
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