運命
無言のまま少し車を走らせ、近くのコンビニに駐車をした。


『き、緊張したぁ~』

極度の緊張から開放され、やっと声が出た。


『緊張してたのか?後半なんて、家族みたいに話してたのに。』


『失礼のないようにとか、嫌われないように‥とか考えてたら頭の中真っ白だったよ‥どんな話してたのか思い出せないもん。嫌われてないかな?』


『母さん、凄い楽しそうだったよ。俺と話するとき以上に(笑)』


『本当?』


『本当。』


『よかったぁ~。』

私は聡の肩にもたれかかった。聡は、私の頭を「よしよし」って撫でてくれた。



『結婚式‥本当に俺の誕生日でよかったのか?』


『うん。それまでに、お父さんを説得しようね。』


『愛のお父さんか‥。第一印象が大事だよな。あと言葉遣いとか』


『聡なら大丈夫。しっかりしてるもん(笑)』


『そうか?1ヶ月みっちり練習しないと。』


『1ヶ月?』


『俺さ、次の休み‥1ヶ月後なんだよな。あとは、半日休みとか‥だから来月に挨拶に行ってもいいか?』


『忙しいんだね‥。分かった!!お父さんには来月、空けといてもらうように伝えておく』


『ごめんな。お願い』


『うん。あんまり無理しないでね。』


『分かってるって!!それより‥』


私は「ん!?」って顔で聡の顔を覗き込んだ。


『さっき、母さんと何の話してたんだよ!?』


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