運命
『聡のお母さんと?さぁ〜』


『さぁ〜って‥』


『それはヒミツ(笑)』


『俺達の間にヒミツはなしって約束しなかったか?』


『これは特別(笑)』


『愛〜』

私たちは、しばらく車の中でじゃれあった。
周りから見れば‥飼い主が猫と遊んでいるようだった。




その後、昨日約束していた買い物に出かけた。
電化製品とか家具とかはまだ必要ないだろうって話になり、とりあえずお揃いの食器を買った。

私は、赤と青の色違いがいいって言ったのに‥聡は「俺は黒がいい」って。
仕方ないので、黒と白の色違いを買った。でも、内緒でイチゴのコップも2個こっそり買って袋の中に隠した。食器をしまう時の聡の反応が凄い楽しみだった。


買い物が終わり、夕飯を済ませた後は聡のアパートに戻った。
食器を一つずつ袋から出していると‥

「何だこれ?」

って聡が驚いていた。


「可愛いでしょう。気に入っちゃったから2個買ったんだ」

って言うと「仕方ないな」って一言。
でも凄い嬉しそうだったのを私は見逃さなかった。


一通り片付けも終わり、聡が家まで送ってくれた。



『今日はありがとう。さて、あと少し頑張るね。』


『やっぱり俺も一緒に行こうか?』


『ううん。まずは私から話させて。聡は来月、挨拶に来て』


『‥何もしてやれなくてごめんな』


『何言ってるの!!』

私は聡のおでこにデコピンをした。


『後で電話‥するね』


『分かった。じゃあ、後で』


車が見えなくなるまで手を振り続けた。

『よし!!』


気合を入れて家に帰った。
< 71 / 205 >

この作品をシェア

pagetop