運命
~3ヶ月記念日~


今日は、聡と私のお父さんが初めて逢う日だ。
聡のスーツ姿、きっとかっこいいだろうな。私は浮かれていた。


9時50分。
聡から電話が来た。

『愛、おはよう。』


『おはよう、聡。今から外出るね。』


『了解』

いったん電話を切って、私は聡に逢いに急いで階段を降りた。そして、玄関の戸を開けると聡はスーツのしわを伸ばしていた。

「やっぱり、かっこいい」
私はそう思ったが声に出さなかった。


『大丈夫そう?』


『心配するな。それより、挨拶が終わったら何処に行きたいか考えておけ(笑)』


『うん。』

私はニコニコしながら家の中に入った。



『お父さん、お母さん。聡が来たよ』

玄関先で言うと、お母さんだけが出てきた。


『はじめまして。愛の母です。』


『はじめまして。愛さんとお付き合いさせて頂いております、高橋聡と申します。宜しくお願いいたします。
これ、つまらないものですが‥』

そう言って、持っていた手土産をそっと差し出した。


『まぁ。すみませんね。どうぞ、中に入ってください。』


『御邪魔します。』

聡がくつを揃えているとき、お母さんが小さい声で
「茶髪とか、ピアスしてなくてよかったわ。」と少しホッとしていた。



居間に入ると、お父さんは新聞を読んでいた。

『お父さん。聡さんがお見えですよ。』


お母さんが声をかけても返事はなかった。

『ごめんなさいね‥どうぞ、そちらにお座りになってください。』


『では、失礼します』

聡は、お父さんと対面する位置に座った。私はその横に姿勢を正して座った。

しばらくすると、お母さんが4人分のお茶を持ってお父さんの横に座った。


頃合いを見て聡が口を開いた。
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