運命
『ふぅ~』

長く深いため息が出た。
時計を見ると、まだ10時10分だった。聡が来て20分くらいしか経っていないのに、1日仕事をした時と同じくらいの疲労が押し寄せてきた。


『あなた達、今日記念日なんじゃないの?』

お母さんが聞いてきた。


『そうだよ。本当なら、この後デートだったのに‥聡が、今日はお父さんと一緒にいなだってさ。』

また、ため息が出てしまった。
ため息をすると幸せが逃げていくってよく言うっけ。もしかして、私が原因?
一人で考え込んでいると‥


『そう。なら今日は、お母さんも家事をお休みしようかな』


『えっ?』


『お父さんも休みだから、久しぶりに3人で出かけましょうか?』

お母さんは楽しそうだ。


『出かけるって、何処に??』

お母さんは考えていた。そして「あっ!!」って急に叫んだ。



『お父さんの大好きな釣りなんてどう?(笑)』


『え~‥』



行きたくないって何度も言った。お父さんも誘ったけど、全然乗り気ではなかった。でもお母さんが運転するからって強引に車に乗せられた。
助手席にお父さんが座り、後部座席に私が座って車は走り出した。

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