運命
結局、何のアイディアも浮かばないまま約束の前日を迎えた。

私は、朝食に並べられた卵焼きを箸でつつきながら話した。


『お母さん、何かないかな?もう明日だよ?』


『そうね〜‥』


私は、つついていた卵焼きを食べながら考えた。すると


『お母さん、いい案浮かんじゃったかも(笑)』


『何?準備は全部私がやるから!!』

私は必死だった。



『そう?なら準備はお願いしようかしら。明日の夕飯の買い出し。』


『えっ?夕飯の買い出し??』


『そっ。みんなでカレーでも作りましょう』

私には、お母さんの作戦の意図が分からなかった。


『なんで‥カレーなの?』


『だって簡単で沢山つくれるものって言ったらカレーじゃない。それに‥お父さん、料理苦手だし聡君の前でかっこ悪い姿見せられないでしょう(笑)』

お母さんは、私たちの応援をしつつ、いつもお父さんの味方でもあった。これが夫婦なのかな‥なんて思っていた。


『愛、買い出しは明日でいいわよ。早く仕事に行きなさい』


『ヤバイ!!行ってきまぁーす。』

私は食パンを銜えたまま家を飛び出した。
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