妖魔03(R)〜星霜〜
今日の飯は、野菜を煮た物である。

カボチャ、白菜、人参が入っているようだ。

味を確かめるために口に含む。

「うむ、うむ」

「どうですかあ?貧乏舌に合うように作ったんですよう」

殴るのは後にして、味を堪能する。

不味くはない。

どっちかといえば美味い部類に入る。

カボチャの甘みが生かされている料理だろう。

「美味い、本当に上達したな」

「だ、駄目ですよう。そんな目で見ても、夜の世話なんてしてあげませんよう、いやーん!」

一人で舞い上がっている。

本当に人から褒められた事がないんだろうな。

「俺の望みはお前の性格が180度転換してくれる事なんだがな」

「何言ってるんですかあ?丞さんも、人妻に手を出すような性格は直したほうがいいですよう」

「はあ、お前もさっさと恋人でも見つけろ」

「えー、丞さんに言われると、今日の気分は八割減少ですう」

いつも思うが、何で余計な事を言うんだろう。

ツッコミばかり入れて冷静に考えてなかったから解らなかったけど、ひとまず踏みとどまろう。

「お前さ、何で言い方を考えようとはしないんだ?」

「えー、丞さんに心配されなくても、ティアは上手くやってますよう」

「そうは思えないんだがな。人をイラっとさせなけりゃ、お前はモテてもおかしくない部類だと思うんだよ」

ティアをよく見てみれば、村の中でもカメリアと争うくらいの綺麗さをもっている。

「そうですかあ?丞さんに褒められると五臓六腑がこそばゆくなりますよう」

「おいおい、内臓が痒くなるって病気だろ」

「あ、丞さん、もしかして、ティアの恋人に立候補ですかあ?丞さんはとっぽいですからねえ、考えちゃいますう」

「五臓六腑に穴を開けてやりたくなるな」

会話がいつもおかしな方向に行ってしまうのは、俺が悪いのか?

もっと俺が考えれば、ティアを更生させる事が出来るんではないのか?
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