妖魔０３（Ｒ）〜星霜〜
「何もない事が一番なのは確かね」

「裏で変人に会ってると思ったら、そんな事を考えてたわけ？」

私の背後の椅子から懐かしい勇ましい声が聞こえてきますね。

次の瞬間、殺気を感じましたので、ナイフを生成して顔の横に持ってきました。

すると、刃と刃がぶつかり合う金属音が店内に響き渡ります。

「今の一撃は極めて芸術点が高かったと思いますよ」

後ろの席から横にやってきたのは、ジーパンにロングティーシャツを着て、刀を帯びた乾瑠璃子さんです。

「お前、さっさと死ねばいいのに」

「死地に向いたいのは山々ですがね、依頼を受けましたので死地には向えないんですよね」

依頼を果たした後で、乾さんと一緒に舞う時は即答してあげたいところですね。

「子鉄姉もどうかしてるわ！隊長が監視してないところで、意味わかんない事してんじゃないわよ！」

「そうね、あんたには意味が解らないかもしれないわ」

「馬鹿にするんじゃないわよ！何で、あんな奴の事にこだわるのさ！」

「アタシははっきりさせたいだけよ」

「それだけで隊長に背くなんて馬鹿げてる！せっかく、日常に戻れたって言うのに、無茶したら今度は本当に動かなくなるわ！」

「心配してる気持ちを踏みにじって悪いわね」

「それだけ？言う事はそれだけなの！？」

「瑠璃子、アタシを止めたければ斬りなさい。それで、動けなくなるわ」

「後悔するんじゃないわよ！」

乾さんが狭い店内で刀を振り下ろそうとします。

野川さんは座っている状態から、腰に装着していた鞘からナイフを抜いて受け止めました。

お互いにヒートアップしてますね。

観戦しながらのハンバーグも格別ですよね。

「パパ、もっと静かにご飯食べたいねんけど」

摩耶さんは金属の高い音は心地よく感じられないみたいですね。

「賑やかな状況に慣れるというのも一つの手段ですよ。状況に慣らせておけば、皆と打ち解けやすくなりますからね」

「うるさい！」

今度はこちらに向って一閃してきたのを、受け止めます。
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