妖魔03(R)〜星霜〜
「はあ」

目の前のお嬢さんも頭を抱え始めてますね。

近辺には偏頭痛の持ち主が多いですね。

「頭痛薬も必要でしたか」

「そなたを止める事が、一番のやるべき事かもしれぬな」

「おや、一戦交えますか?」

お嬢さんの戦闘への前向きな姿勢は、是非とも買わなければなりませんよ。

私はすでにナイフを生成して、手にこしらえています。

「いや、同時にそなたを信じる事も、必要やもしれぬ」

「ほう」

動こうとしましたが、お嬢さんの言葉によって足を止めます。

「そなたの性格上、問題が多々起ころう。じゃが、そなたがここに立っているという事は、発生した問題の数だけの修羅場を潜ってきているといっても良い」

「その評価はゴールデングローブ賞を頂いたような物ですね」

いつの間にか、お嬢さんの評価は右肩上がりで上々ですね。

「全て褒めておるわけではないのじゃがな」

「そうなんですか。では、悪い部分と良い部分、二種類を仰っているところ、しっかり理解を得られたと思ってしまいますね」

「まあ、そなたの変人ぶりな考えが功を奏すやもしれぬな」

小さな体に巨大な考察、恐れ入ってしまいますよ。

「しかし、あなたとやりあえると思っていたのですが、残念ですね」

「依頼をそっちのけにするのはよくないのじゃ」

「確かに、欲張りすぎはよくないですね」

すでに鯛を釣り上げたのも同然なんですよね。

しかし、私としては目の前にある物が絶品だとすれば、手を出したくなりますよ。

「久遠は今も移動しておる」

お嬢さんが指差す方向から、熱風が吹き荒れてますね。

「アロハシャツが着たくなるじゃないですか」

「真夏のアバンチュールは久遠をどうにかしてからでも遅くはないぞえ」

「そうですね。では、おいしい鯛でも頂きに行きますか」
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