妖魔03(R)〜星霜〜
「最後に、あなたの名前を聞かせてもらえますかね?」

親切な方の名前くらいは知っておきたいですね。

「龍じゃ」

「おや、聞いただけで人が近寄ってきそうな可憐な名前ですね」

「名前など、上に立つ者としては何の役にも立たぬ」

「しかし、あなたの名前には品性が感じられますよ。カリスマ性が備わっているといってもいいですね」

「そなたは、本当に分けのわからぬ人間じゃ」

「おやおや、てっきり理解されているものかと思ったんですがね」

「一言も言っておらぬ。それよりも、ウダウダせずにさっさと行かぬか」

「おやおや、焦りすぎはよくないんですが、いいでしょう」

龍さんは癇癪をお持ちのようですね。

私としては、龍さんの髪型について三日三晩語り合いたかったんですがね。

私自身も行くと行った以上は、後戻りは出来ませんよ。

「では、またお会いしましょう」

「うむ、久遠の事を頼んだぞえ」

私は龍さんと別れ、先ほど指を差した方角へと向います。

久遠さんに近づくに連れて、熱風が増していますね。

戦の前に心地のいいシャワーのようですよ。

もしかすると、出会った瞬間に炎のシャワーも浴びてしまいそうですがね。

「おや、久遠さんじゃないですか」

数分後に辿り着いた先には、露出度の高い服装を着ている久遠さんの背中姿がありますよ。

中心核なのでしょうか。

熱風が肌を焦がすくらいに強くなっていますよ。

「あ!眼鏡のおじさんだ!」

「おやおや、この眼鏡に目をつけましたか」

「アハハ!その眼鏡、格好いいよねー!それよりさ、美咲知らない?帰ってこなくてさ、オイラがずっと探してるんだけど見つからないんだ、どっかに隠れてるのかな?」

早速、話題が出ましたね。

彼女も早く真相が知りたくて、ウズウズしているのかもしれませんよ。
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