妖魔03(R)〜星霜〜
「ん?」

外が騒がしい。

何が起こっているのか。

窓から外を覗いてみると、軍服を着た男達が5人いるようだ。

手には銃をこしらえている。

「嘘だろ?」

結界が解けたせいか、入り込むことを可能にしたようだ。

妖魔の変鎖が解けて圧迫された村が鎮圧されたのか?

それとも、洞窟とは逆方向から来たのだろうか?

「くそ」

光の波動を使えば、次は何が死んでしまうのだろう。

足の感覚が消えてしまえば、厄介だ。

チェリーはもちろんの事、運動能力の高いティアでさえ危ない橋だといっていい。

5方向からの銃弾の回避は絶対的に出来るとは限らないのだからな。

俺が囮になって外に出れば、どうだろう?

人間の姿ではあるし半妖魔だ。

妖魔を判別する何かしらの道具を持っていても、支障が出ると思いたい。

出て行っても、何ら策はないんだけどな。

向こうはプロで、格闘でも勝てるとも言いがたい。

だが、待て。

逃げた先にもテンプルナイツがいたとすれば、万事休すなのでは?

無謀な賭けで、せっかく生き残ったティアやチェリーを殺してしまう事になるんじゃないか?

どうすればいい。

妖魔が三人いるなら、能力で脱出できるだろうか?

チェリーはまだ子供で頭を働かすのは少し難しいし、能力が解らない。

魔力以外に制限がないティア一人の能力を頼りにするしかないのか。

後は、正面以外に裏口から出るという方法がある。

あれ?この家って、裏口ってあったか?

いや、とりあえず、他の部屋の窓から出るしかない。

一つは確か、森に繋がる窓だったはずだから、逃げる事は可能なはずだ。
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