妖魔03(R)〜星霜〜
「でも、気になったんだが、変鎖した後にも魔力を消費しているのか?」

「しているアル」

「そうか」

妖魔というのは色々と計算しなければならない生き物なんだな。

「変鎖中には魔力消費以外にコアの劣化も進んでいるアルよ」

そういえば、萌黄さんが話していた過去話にも似たような話があったか。

「村の妖魔達が暴走したのは」

「火野が死んだアルか」

「知ってたのか?」

「あの村を火野が治めているというのは知っていたアル。そして、火野の能力もアル」

話の流れからすれば、火野長老の能力はコアの劣化を進める能力だったのだろう。

でも、話せば効力がなくなる秘術じゃなかったか?

お吟さんは、調べる事が出来たのか。

「そういや、お吟さんは火野長老にお付き合いというか結婚というか、迫られてたんだったな」

「火野は股間も能力も並だったアル」

このお方、今さらっと酷い事を言いませんでしたか?

しかも、体の関係を持っていたのかよ。

お吟さんならやりかねないんだよな。

「お吟さんは、これからどうするんだ?」

「アチシは着の身着のままぶらり旅アル」

「お吟さんらしいな」

きっと、お吟さんならすぐにでも島を出る事は可能だろう。

一人ならの場合だがな。

「そうだ、チェリーとティアを安全な場所まで連れて行ってくれないか?」

「面倒臭いアル」

「俺といると危ないんだ」

「誰といても一緒アルよ。それに、着の身着のままとさっき言ったアル」

安易に人に頼ろうとするのは悪い癖なのだろうか。

でも、これ以上、死んで欲しくない。
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