妖魔03(R)〜星霜〜
三十分経った頃だろうか、チェリーの眼が開いた。
チェリーは滝のように涙を流しながら、俺に抱きつく。
「怖い、怖いよ、お兄ちゃん」
きっと、夢でとんでもない事に遭遇したに違いない。
声を押し殺して泣いているチェリーの頭を撫でてやる。
「俺が、お前の傍にいるから」
チェリーの中に恐怖を作ったのは俺だ。
大丈夫などという台詞なんか使いたくはない。
そんな保証はないし、何よりも無責任だ。
そして、これから更に怖い思いをするかもしれない。
出来る事なんて限られている。
その中で、如何に最善を尽くすかが問題になってくるはずだ。
「もう少し、ここにいるか?」
泣くのを止めたチェリーは無言で首だけを横に振った。
「そうか」
俺はティアの籠の果物をチェリーに手渡す。
「俺もさっきティアに貰ったんだけど、美味しいぞ」
本当は味なんて解らない。
だけど、少しでもいいから、元気になって貰いたかった。
チェリーは小さな口で一口かじり、微笑んだ。
「美味しい」
「そうか」
「ありがとう」
「礼はティアに言うんだ。取ってきたのは、ティアだからな」
「ティア姉ちゃん、ありがとう」
チェリーは感謝の度合いを示すが如く、ティアに抱きついた。
後は、俺達が越えるべき場所を越えるだけだ。
チェリーは滝のように涙を流しながら、俺に抱きつく。
「怖い、怖いよ、お兄ちゃん」
きっと、夢でとんでもない事に遭遇したに違いない。
声を押し殺して泣いているチェリーの頭を撫でてやる。
「俺が、お前の傍にいるから」
チェリーの中に恐怖を作ったのは俺だ。
大丈夫などという台詞なんか使いたくはない。
そんな保証はないし、何よりも無責任だ。
そして、これから更に怖い思いをするかもしれない。
出来る事なんて限られている。
その中で、如何に最善を尽くすかが問題になってくるはずだ。
「もう少し、ここにいるか?」
泣くのを止めたチェリーは無言で首だけを横に振った。
「そうか」
俺はティアの籠の果物をチェリーに手渡す。
「俺もさっきティアに貰ったんだけど、美味しいぞ」
本当は味なんて解らない。
だけど、少しでもいいから、元気になって貰いたかった。
チェリーは小さな口で一口かじり、微笑んだ。
「美味しい」
「そうか」
「ありがとう」
「礼はティアに言うんだ。取ってきたのは、ティアだからな」
「ティア姉ちゃん、ありがとう」
チェリーは感謝の度合いを示すが如く、ティアに抱きついた。
後は、俺達が越えるべき場所を越えるだけだ。