妖魔03(R)〜星霜〜
「あんたは、変わらないわね」

「野川さんも変わらず、血の匂いがしますね」

学生生活を送っていた以前よりも、少しだけ髪が短くなっているような気がします。

「あんたに言われたくないけどね」

「おやおや、あなたにしては珍しいですね。私とお喋りにふけってくれるんですか?」

「今は、そういう気分なのよ」

元気がない様子ですが、宝くじにでも外れてしまったんでしょうか?

ギャンブルは外れるような仕組みになっていますからね。

「きっと次は当たりますよ」

「え?ガリ〇リ君?」

「私はアイスの棒で当たったことが一度もないんですがね、秘訣があるのなら教えてもらいたいものですよ」

「私だってないわよ」

「では、どちらが当たるか、競争しましょうか」

一度は頭をキーンとさせてみたいです。

「本当に呑気よね」

「評価をつけてくださりありがとうございます。野川さんはとても凛々しいと思いますよ」

「どうだか」

「それより、愛人の野川さんは葉桜さんの元には行かないんですか?」

「愛人、か。そうね。そうかも、しれないわね」

野川さんは小声で何かを納得していますが、アタリが出るまでアイスに挑戦する気になったんでしょうか。

「行きたくても場所を知らないし、アタシは丞ちゃんに会うのが怖いの」

「絶叫マシンに乗るのと、どっちが怖いのでしょうか?」

「アタシが絶叫系マシンに乗って、怖がるとでも思ってるの?」

「どうもすいません。凛々しさに溢れた野川さんを見くびっていました」

「あんた、人に嫌われるって事を知らなさそうね」

「私としては好かれようとしているんですがね」

「は、人の気持ちなんてお構いなしの奴に話してる自分が馬鹿らしく感じてくるわ」

苦笑を浮かべていますね。

どこか疲れた表情にあるのはストレスのせいでしょうか。
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