妖魔03(R)〜星霜〜
野川さんが立ち上がり、後頭部まで穴が開くほどに乾雲丸さんを見つめています。

「氷山を溶かすHOTなSOULはあるか?」

「はい」

「ならば、BLAZING(焼け付くような)な世界に身を投じて、救いたいSOMETHING(何か)を救え!」

まさしく、美談ですねえ。

過激な世界の果てに、煌きが満ちているとは思ってもみませんでしたよ。

「瑠璃子」

「何、母さん?」

「ワレはいつまで甘えた気分なんじゃ!」

「ぎゃ!」

華麗な一本背負いで、乾瑠璃子さんは伸びてしまいましたね。

「全く、雲丸君も瑠璃子も、子鉄には甘いですわ」

「総長」

野川さんの前まで歩き、試合でも始めるかのように対峙します。

「私は今でも反対ですの」

野川さんは唇を縫い合わせたように何も言いません。

「でも、あなたの気持ちを変えられないというのも、解ってしまいましたわ」

「アタシ、進みます」

「雲丸君」

乾雲丸さんから投げられた物を乾萌黄さんが受け取ります。

「これを、持っていくのですわ」

黒光する鞘に入った一刀が野川さんに手渡されます。

「師匠の『時雨』」

「餞別ですの」

「ありがとうございます」

二刀を腰に下げれば、SAMURAIらしさが増しますね。
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