妖魔０３（Ｒ）〜星霜〜
「すいませんですの」

乾萌黄さんは私の元へ来て頭を下げましたね。

「おや、美しい白髪が生えてますよ」

黒という世界に一つの白が生えていると、荒廃した大地に一輪の花を思わせるように素晴らしいですね。

「余計な物を見つける必要はありませんの」

「一本だけ白髪という世界を築くあなたの頭皮は素晴らしいと思います」

「い、今はそんな事を話していませんの」

「ですが、白髪染めなどに手をつけるのはもったいないですよ。まさしく、アルティメットフォームですね」

「オドレは、大怪我負っとるのに余裕やのう！」

拳が飛んできますが、バックステップで避けようとします。

しかし、足の力が入らずに、こけてしまいましたね。

「おやおや、骨に異常があるようですね」

血も流しすぎたようで、少し意識が遠のいてきましたよ。

「龍姫様」

乾萌黄さんが明後日の方を向き、素敵な淑女の名前を呼びます。

「そなた達は、近所で暴れるのが好きじゃのう」

気付かぬ間に、学校の塀には龍姫さんが乗っていますよ。

「よっと」

小さい体躯で塀から降りて、私の身体を照れるほどに観察します。

「そなたも無茶をする」

「おや、大人は無茶をして働くのが至高の生活だと思っていますがね」

「ほんに、変わり者じゃな」

「評価をいただける事に感謝しますよ」

龍姫さんは大きな魔法陣を書き始めました。
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