妖魔03(R)〜星霜〜
「私と母さんは、あなたを生かす事を選んでしまったでしょう」

「俺を、生かすだって?」

俺は生きている?

「あのコアには、その力があるでしょう」

親父から貰ったコア。

確か、美咲が言うには古代コアだったか。

親父が郁乃母さんから引き継いだコア。

それのせいで、郁乃母さんは死んでしまったといってもいい。

「じゃあ、俺は」

「生きてるでしょう」

「そうか」

感情がよく解らない。

美咲は死んだままで、俺だけが蘇るというのか?

「でも」

郁乃母さんは口ごもる。

「何か、あるのか?」

「それは、起きてから知っても遅くはないでしょう」

「そうか」

それにしても、郁乃母さんの手は温かい。

深層世界の中にも温かさがあるというのは不思議だ。

「ありがとう。俺、郁乃母さんの事が大好きだ」

「私も、丞の事は好きでしょう」

でも、次にいつ会えるかは解らない。
< 331 / 355 >

この作品をシェア

pagetop