妖魔03(R)〜星霜〜
「丞、世界は、あなたを見捨てはしないでしょう」

「かも、しれねえな」

今の状況を考えれば、郁乃母さんの言葉を信じていいのかもしれない。

そう、俺はまだ終わってはいない。

まだ何かをする事が出来るのだ。

何か。

彼女達の役に立つ事が出来るだろうか。

やらなくちゃならない。

それが、俺の使命なのだ。

上空にあるスポットライトの明かりが徐々に消えていく。

「また、会えるよな?」

郁乃母さんの姿が、消えていく。

郁乃母さんは、何も答えない。

「郁乃母さん!また、俺の手を握ってくれる時が、来るよな!?」

俺の言葉が届いたのかどうかすら確認出来ないほどに、全てが暗闇に包まれていた。
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