妖魔03(R)〜星霜〜
「確かに、賭けだな」

極限まで粘らなければ使う事は許されない。

もし、早く知っていたとしてもお吟さんの方法で行けば、俺は拒んだかもしれない。

もし、早く生き返っていれば、俺は再び高校生活を送っていたかもしれない。

それに、俺は島で不幸になっていた。

その間に、別の誰かが幸福になっていたとすれば、俺が別の選択をする事によって不幸になる可能性もあるという事だ。

限りなく遠い世界の人間にとっては、同じ選択をすれば幸福になるかもしれない。

どちらにしても、可能性の話で、本当にそうなるのかはわからないけどな。

ただ一つ言えるのは、皆の記憶がなくなるのは、非情に堪えるという事だ。

「でも、何でそんな危ないものを作ったんだ?」

他の誰かの手に渡ってしまったら、どんな使い方をされるか解ったものじゃない。

「それはじゃな、あるRPGゲームをやっていてのう、一週目をクリアして二週目に入ったんじゃ。二週目に入ったら色々と選択際が増えたり、強くなるなんて事があったんじゃ。じゃから、現実でも出来んかと思って、イタズラ心で運命を切り開く白銀の刃を使って作ってみたんじゃ。本当に出来るとは思ってなかったんじゃがのう」

何て単純な理由。

しかし、龍姫の本来の運命を動かす能力が膨大なパワーを秘めているという事だ。

「偶然にしても、恐ろしいものじゃなあ」

「確かに、な。しかし、呪いのコアを発動させたって事は、呪いはどうなるんだ?」

「呪いのコアは古代コアであり超コアじゃ」

「超コア?」

英語で言えばスーパーコア。

コアを超えるコアとは、面白い物だな。

「一度使えば砕け散る。呪いの元がなくなれば、呪いも消える」

「なら、俺は、普通の妖魔に戻ったわけか?」

「そうなるじゃろうな」

だとすれば、吸収能力はなくなってしまった。

呪いによって発動する光も打てなくなってしまった。
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