妖魔03(R)〜星霜〜
誰の声かは解っていた。

「そういえば、お前も生き返っていたな」

振り返ると、金髪の男が白ずくめの服装で立っている。

イヴァン=カナシュート。

自分が死ぬと同時に発動する時限爆弾を美咲に仕掛けた男だ。

「何しにきやがった?」

怒りには満ちているものの、冷静でいられる。

島で起こった出来事のせいかもしれない。

ちょっとした事で動じなくなっているのか。

「君のおかげで僕は記憶のあるままいられる。少しは感謝しなければならないと思ってね」

確かに、イヴァンは俺の事を知っている。

知っているから、俺の前に立つ事が出来ている。

だが、何故、俺の記憶がある?

コアに触れたとでもいうのか?

「君の頭でいくら考えたところで答えには辿り着けない」

「そうかよ」

いつもながら憎たらしい野郎だ。

「答えなんか必要ないぜ。お前が何かするっていうのなら、もう一度あの世に送るってだけの話だからな」

躊躇いは微塵もない。

「今の君に?不可能だな」

嘲笑うかのような台詞しか思いつかないのか。

「だが、僕も今の君に手を出す気にもならない」

「ありがとさんよ」
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