妖魔03(R)〜星霜〜
イヴァンは闇の中へと歩いていく。

「また、美咲に手を出すつもりか」

「興味はない」

一言残し、闇と同化した。

美咲には手を出さないからといって安心は出来ない。

イヴァンは何かを企んでいる。

目的は解らないが、必ず仕掛けてくるに違いない。

その時までに力を付けておかなければ、前回の二の舞になるだろう。

偶然は二度も続かないと考えた方がいい。

「遅くなっちまったな」

「龍姫なら後で毛の一本まで可愛がるから心配ないアル」

龍姫はお吟さんに絡まれることをどう思っているのかね。

お吟さんは、龍姫の事を気に入ってるからな。

いつから何だろう。

「お前も一緒だから、安心するアル」

「そんな事を一つも考えてなかったんだがな」

「何、アチシと二人がいいアルか?」

このズレた感覚はどうなんだろうか。

ワザとやっているんだろうけど、嫌ではない。

「それもいいんだが、お吟さんは何で俺の前に姿を現したんだ?」

自由奔放なお吟さんだし、帰るとするなら夫であるジジイの元じゃないのだろうか。

「お前が寂しがってないか、見に来てやったのさ」

コアを発動したのはお吟さんだから、心配してくれたんだろうか。
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