妖魔03(R)〜星霜〜
「今日はここいらで帰るよ」

話してから一時間くらいは経っただろう。

「ええ!もっと聞きたい!」

「チェリー、お兄さんは明日からとっても忙しくなるのよ」

「でもお」

とても残念そうだが、カメリアの言うとおり初日から遅刻していては洒落にならない。

「悪いな。また明日聞かせてやるからよ」

「うん、絶対だよ?」

「任せとけってんだ」

俺はロープを巻きつけたティアを引っ張りながら、ティアの家へと戻っていった。


扉から入る事をもがきながら拒むティアだったが、容赦なく扉から入っていく。

「ふう」

ティアの縄を解くと、御伽噺の桃太郎が生まれた時のように大の字になりながらジャンプする。

その際、勢いのあるグーパンチをティアから頂いた。

ティアは口の中の布をもぎ取って、大きく息を吸う。

「丞さんがここまで残忍な男だとは思ってなかったですう!」

「ドアから入るくらいいいだろうが」

「駄目駄目ですよう。ティアの日課を妨げるなんて、お嫁にいけないですう」

「どういう関係があるんだよ?」

「ティアの日課を妨げるという事は、お前の日常は俺の物、俺の言う事に従ってついて来い=俺と付き合えなんですよう」

「お前は妄想を肥大させすぎだと思うんだ」

ティアのとんでも理論には、口を出したいとも思わない。

「どう責任を取ってくれるんですかあ!?」

「新しい日課を見つけろ。それで解決する話だぞ」

「アレ以上の日課なんて、ティアには見つけられないですう」

泣き真似をするティアだが、どこまで視野と考えの狭い奴なんだろうか。

「日記をつけるでもいいだろ?とにかく、それくらいで人生を嘆いていたら、これから先、生きていけないぞ」

「食い扶持がなくて明日餓死してもおかしくなさそうな丞さんに言われたらお仕舞いですう」

「青いゴミ箱でも漁ってろ!」

「グビャ!」

スタ〇ハンセンもびっくりラリアットを打ちつけ、ティアは後頭部から床へと倒れた。
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