妖魔03(R)〜星霜〜
井戸から木桶で水をくみ上げて顔を洗い終え、爽快感を得る。
「ふう」
布で顔を拭いてから、深層意識の事を回想する。
「俺にはいい事がある、か」
今も俺の中には母さんがいるのだろう。
身体を操る事は出来ないにしろ、不気味な話である。
「あいつは知ってるのだろうか」
あまり思い出したくない顔を浮かべてしまう。
「ち、朝から胸糞わりいぜ」
「朝、気分の良いもの」
傍には、以前とは別の民族衣服を着たウッドが立っていた。
「何、すぐに収まるさ。それより、ウッドも顔を洗いに着たのか?」
「違う。朝食のための水」
「朝飯ね」
そういえば、ウッドには年頃の妹がいるという話だったな。
「飯はウッドが用意しているのか?」
「ああ」
ウッドは井戸の桶から自前の桶へと水を移し変えていく。
「へえ、妹さんは幸せだな」
「幸せ、違う」
「何?」
ウッドは陰りのある顔に変化している。
「俺、畑仕事とご飯を作るくらいしか出来ない」
「十分だろ」
「お前、解ってない。だから、簡単に言える」
こちらに顔を向けていないので表情は解らないが、声には少し苛立ちが篭っていた。
「まあ、お前の言うとおりかもな」
ウッドの妹に何か問題があるとするならば、余計な事を言ったところで何の慰めにもならない。
「今度、俺にも朝飯食わせてくれよ。ティアの飯だと腹を壊してしまいそうなんだよ」
「気が向けば」
ウッドは水を汲み終えて、自前の桶を持って去っていった。
「ふう」
布で顔を拭いてから、深層意識の事を回想する。
「俺にはいい事がある、か」
今も俺の中には母さんがいるのだろう。
身体を操る事は出来ないにしろ、不気味な話である。
「あいつは知ってるのだろうか」
あまり思い出したくない顔を浮かべてしまう。
「ち、朝から胸糞わりいぜ」
「朝、気分の良いもの」
傍には、以前とは別の民族衣服を着たウッドが立っていた。
「何、すぐに収まるさ。それより、ウッドも顔を洗いに着たのか?」
「違う。朝食のための水」
「朝飯ね」
そういえば、ウッドには年頃の妹がいるという話だったな。
「飯はウッドが用意しているのか?」
「ああ」
ウッドは井戸の桶から自前の桶へと水を移し変えていく。
「へえ、妹さんは幸せだな」
「幸せ、違う」
「何?」
ウッドは陰りのある顔に変化している。
「俺、畑仕事とご飯を作るくらいしか出来ない」
「十分だろ」
「お前、解ってない。だから、簡単に言える」
こちらに顔を向けていないので表情は解らないが、声には少し苛立ちが篭っていた。
「まあ、お前の言うとおりかもな」
ウッドの妹に何か問題があるとするならば、余計な事を言ったところで何の慰めにもならない。
「今度、俺にも朝飯食わせてくれよ。ティアの飯だと腹を壊してしまいそうなんだよ」
「気が向けば」
ウッドは水を汲み終えて、自前の桶を持って去っていった。