妖魔03(R)〜星霜〜
食事が終わると、初仕事が始まる。

「さてと、行くか」

「丞さん、過労死するまで頑張ってくださいですう」

「お前はもっと世のため、人のために働け」

あまり時間がないので、ティアの相手をせずに家から出る。

「ウッドに会わないとな」

ウッドの家がどこなのか、さっぱりわからない。

それに、家に行ったからといってウッドがいるとも限らない。

「とりあえず、カメリアにでも聞いてみるか」

「何、私に用?」

「おわ!」

後ろには大きなザルを脇に抱えたカメリアが立っていた。

「幽霊じゃあるまいし、そんなに驚く事ないでしょうよ。それで何?忙しいから手短にしてくれると助かるわ」

もう、カメリアの仕事は始まっているらしい。

「ウッドの家の場所を聞こうかなと思ってな」

「ウッドの家?そこよ」

指差した方向はティアの家から、北西に行った場所にあった。

距離で言えば、30メートル離れた位置で他の家よりも遠い。

「すまねえな」

「いいけど、お兄さんはあまり近づかないほうがいいわよ」

「何でだよ?」

「ウッドはお兄さんみたいな変な男を近づけたくないらしいからね」

「それ、本人の前ではっきり言う事かよ」

「いいのいいの。お兄さんはちょっとやそっとじゃ倒れそうにないし」

何の用もないのに近づいた時には、また息を止められるのかもしれない。

しかし、どこに行っても俺の扱いは変わらないのだろうか。

「ま、仕事頑張れよ」

「お兄さんも世話になってる分はしっかり働くんだよ」

あの馬鹿を世話してるのはこっちだと思うんだがな。

寝床を提供されている以上は文句を言うまい。
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